ーーーーー ご挨拶 -----

絵画 『 富 士 図 』
絵画 『 富 士 図 』
上大迫博作 手描き訪問着©
晴れの日の手描き訪問着 上大迫博作©

父が

遠く鹿児島の地から

京都に上京し、

美術を学びながら 

昭和2年ここ

京都の地にて創業。

 

来る日も来る日も

寸暇を惜しん

で写生に明け暮れ、

信じる道を

走り続けてまいりました。

 

時には

本画の道に入ろうとも

考えたようですが

縁あって

商業デザインの道を

突き進んむことに・・・。

 

創業以来、

あの太平洋戦争の

戦禍にもあいまた、

数々の苦難にも

道を塞がれかかりましたが、

持ち前の薩摩魂で

困難を乗り越え ました。

 

そして戦後すぐの

昭和21年に

私が誕生しました。

 

昭和41年12月に父が病に倒れてからは

二代目としての役を勤めてまいりました。

 

父・充夫の写真
若き日の父(充夫)の写真

私の生まれは、昭和21年の11月

さそり座の男。

 

私の両親はともに九州は

鹿児島県の出身だが、

子供の私は

京都生まれということに。


ここ京都の伝統産業と言われる

染織関係の職に従事するとなれば、

やはりこの
京都人かそうでないかは

気になることもあるが、

要は、腕前というか仕事しだい!

 

創業が江戸時代なんてのは

朝飯前の古都である・・・。

そんな些細なことを気にかけても

無駄である。

 


  父のこの地での創業は、

いろいろな面で

並大抵ではなかったろうと察しられるが

 

それらの問題も父の真面目で実直な人柄と

人並み以上の探究心・向上心が
上手く補ってくれたように思う。

 

昭和30年代の京都美術館別館前にて、展覧会の同人と父(右から3人目)
展覧会の同人と京都美術館別館前にて、昭和30年代

 

昭和30年前半頃の写真がある。

 

父の仲間たちと

 

展覧会というか展示発表会の記念写真。

 

この中に、私の知っているのは

父以外に、二人。

 

父を含めれば3人ということになる。

 

終戦後10年そこそこの時代の写真にしては

 

皆、気骨が感じられ、しっかりとした風貌だと思う。

 

 

昭和30年代前半の頃、父と絵描き仲間たち
昭和30年代前半の頃、父と絵描き仲間たち

 

これも昭和30年代前半頃の写真と思われる。

 

仲間と

 

すき焼きでも楽しんでいたのだろう。

 

楽しそうな雰囲気で、その場の熱気までもが

 

伝わってきそうだ。

 

前列右から二番目の女の子と

 

当時の私が同じくらいの年恰好だと思われる。

京都市上大迫博の屏風製作風景
京都市上大迫博の屏風製作風景

 

また出会う先輩や

師と慕った人たちには

それぞれ親身になって

指導・指針を与えられたりもした。

 

たとえば、日本画の師には、

本画家として

日展作家への道を薦められ
日展工芸の師には

その工芸作家への道へと

誘われたのだが

 

そこはやはり、

 

単身上京した身をも考慮して、

人様の迷惑にならぬよう

独自の道を歩んできた模様。

 

父の仕事が軌道に乗った頃に、

あの戦争を経験してしまい
また、

振り出しに戻ってしまったのは、

 

同年輩のかたがたにとって

痛恨の出来事であったろうことは
疑いの無い事実。

 

そして、

戦後の混乱から大発展へと

駆け足で昭和の時代を駆け抜けて

昭和54年に黄泉の国へと旅立つ・・・。

 

あれから数十年の歳月が流れ、

私も齢70歳を迎えようとし、父の逝った年齢を

追い越そうとしている。

 

あの私の父の年齢を

追い越すとは・・・・・・。

 

 

そんな中、

未だに父の使っていた

筆洗やパレットを使用し

父の匂いに触れられる私は


最大に幸福者であると、

他人にではなく、

自分自身に自慢できる一つだ。

 

上大迫 博の絵画作品部分
上大迫 博の絵画作品部分

簡単に父と私について

触れてみたが、

それは何にもまして


いい加減な仕事はできない

という

原点を語りたかったので、

うだうだと無駄話や自慢話を

したつもりは無い。

 

 

 

上に若き日の

父の素描を載せてみた。

 

確か父が二十歳になるか

ならない頃のスケッチで

 

父にしてみれば遊びたい盛り

 

休日が月に一度あるかないかの頃の

寸暇を惜しんでのスケッチで、

 

そのスケッチブックの

一つ一つを見ていると

万感の思いに包まれながら

 

スーットその中へと 引き込まれてしまう。

 

参考に

私の屏風画製作風景と

 

大好きな

富士の小品を載せてみた。